ウィーン到着から2夜が明け、ようやく生活と仕事の場が、最低限セットできました。後の方に役立つかどうかはわかりませんが、まずは、出発前の準備をめぐる顛末をご紹介したいと思います。
その1:査証と航空券の手配(かなり長いです)
日本人は、オーストリアに6か月まで、ビザなしで滞在できます。しかし、周辺のドイツやハンガリーには3か月までしかビザなしで滞在できないので、ウィーン滞在中、オーストリア国外にも出かけられるようにと、Dビザを取得しました。このDビザというのは、日本とオーストリアの2国間のみで交わされる仮査証で、本物の査証よりも手続きが簡単でかつ無料です。欠点は、原則として半年までで、期間の延長はできません。しかし、現地では、査証としての機能を果たします。
今回の海外研修は1年以上前に決まっていたことなので、4月の年度始めに、在日オーストリア大使館領事部に問い合わせました。「半年のDビザなら1週間で発行されますから、出発前の9月初旬の申請で間に合います。必要書類は、受入先からの招聘状コピー、写真、海外旅行保険(医療保険300ユーロ以上)、所属機関の(この場合は学長の)渡航を証明する文書です」と、意外に簡単でした。
航空券は、いつも利用させていただいている良心的な個人経営の旅行会社に、1年前に見積してもらった時、直行便のオーストリア航空も全日空も、半年や1年のオープンは激高(80万円とか)とのことだったので最初から断念。ルフトハンザの留学用格安チケットのゲーテエクスプレスが適用されるというので、10月1日出発の運賃が発表されるのを鶴首して待つこと1年。9月1日に15.6万円と発表になったので申し込んだところ、最悪。行きは良くても帰りがありません。3月31日も30日も、フランクフルト経由もミュンヘン経由も、4月1日から1年間の予定で留学している人が、すべて押さえていたのです。うかつでした。航空券は、料金発表前に座席予約しておくのがポイントでした。
件の旅行会社に相談したところ、半年オープンで格安料金を出しているのは、スカンジナビア航空とKLMオランダ航空とのこと。スカンジナビア航空は10万円と、信じられないくらい安く、ゲーテエクスプレスを待つ必要なかったと思ったのですが、コペンハーゲンからの機体が小さく、高知空港に胴体着陸したボンバルディア機だったのでやめました(ちょうどこの話をしていた時、コペンハーゲン空港でボンバルディア機の車輪が出なくて着陸失敗事故発生)。
出発まで1か月を切っていた焦りから、KLMオランダ航空の1年オープンを10月1日-3月31日でネット購入しました。これなら、復路の日付変更は50ユーロ、出発前のキャンセルは17,500円でOK。万が一、帰国直前に事故か病気で帰国が伸びても大丈夫です。値段も、ゲーテエクスプレスより4.4万円高いだけでした。
これで航空券は手配完了と、次いで、海外旅行保険に入り、学長の英文レターを携えて、在日オーストリア大使館領事部にビザ申請に行ったところ、悪夢が待っていました。
領事関係のことがわかるのは、ベテラン日本人職員の彼女ただ一人という上羽女史曰く、「ビザで言う1か月は30日のことで、半年・6か月と言ったら180日、つまり3月28日までですよ。あなたウィーンから直行便で帰りますか? だったら3日程度のオーバーステイは問題ないですけど、これがフィンランド航空だと、たった1日でもヘルシンキに抑留されて、最短でも2日間は出てこられません」。私、「直行便は高くて使えないので、KLMオランダ航空なんですけど」。上羽女史、「え! 直行便じゃないのですか? でも、オランダなら職のある日本人が3日程度オーバーステイしても、たぶん、多めに見てくれるから、今回はこのままこれでいきましょう」。
はじめは意味がわからず、何とも思わなかったのですが、後でネットで「オーバーステイ」の意味を調べると犯罪行為ではありませんか。入国禁止処分とかになるわけです。公費で海外研修に行って、違法行為とわかっていることを・・・許されようはずがありません。
そこで、どうにか合法的に3月31日まで滞在できる方法はないか調べたところ・・・ありました。シェンゲン協定国以外の国を経由して帰国すればよいのです(シェンゲン協定国内では出入国審査がありません)。ウィーンからスイス航空でチューリヒ経由、大韓航空でソウル経由、英国航空でロンドン経由、アエロフロートでモスクワ経由などでしたらOKなわけです。
9月は連休が多くて、個人経営の某旅行会社はお休みなので、HISヨーロッパ担当に問い合わせました。そうしたら、なんと、オーストリア航空の半年オープン(10月1日-4月1日まで有効)が17万円だというではないですか! 旅行会社によって取り扱えるチケットが異なることを改めて認識しました。ところが残念なことに、オーストリア航空は成田との間に1日1便のみなので、1か月先まで満席です。かろうじて、英国航空が18万円であり、仮予約。
さらに、3月31日まで有効なビザ取得の手段を探ったところ、現地に行ってから日本大使館を通じて取得可能との情報。ただし、それに必要な警察での無犯罪証明の発行には3か月がかかるとか。
ここまで準備して、連休明けに在日オーストリア大使館に電話したところ、9時からの勤務のはずが30分経過しても留守番電話。緊急用の領事の携帯番号にかけたところ、上羽女史が留守番電話を解除するのを忘れていたことが発覚。それで、ようやく上羽女史と連絡がついた訳ですが、「あなたのDビザは、領事が特別に183日間で発行してくれましたよ」。うううーーーーーーーむ。悪夢のよう連休を私に返して! 結果オーライとはいえ、なんて無責任、いい加減な・・・。これがオーストリアということがよくわかりました。「人は法なり」。
連休にも拘わらず、親身にご相談に乗ってくださったオーストリア留学経験者のN.Fさん、M.T.さん、本当にありがとうございました。心より御礼申し上げます。
その2:荷物の発送
こうしてKLMオランダ航空で行くことになったわけですが、預ける荷物は20キロまで、機内持ち込み手荷物は12キロまでとのことで、たとえ1キロでもオーバーすると追徴料金との噂。全日空では、合計40キロくらい運んでいるという知人もいますが、今回はKLMなわけです。このために、生まれて初めて体重計を購入し、綿密に測りました。機内手荷物の楽器ケースの隙間にも詰め込んで、ぴったり、スーツケースは20.2キロ、手荷物は12キロでした。あまりの重さに新宿駅で、小田急線から成田エクスプレスへの乗換え間に合いませんでした(涙)。仕方なく、東京駅まで行って、30分後の成田エクスプレスにしました(余談ですが、そうしたら、元学会長のY.M.先生が、国連の会議でニューヨークへ行かれるとのことで、一緒になりました)。ちなみに、飛行機で隣の席だった女性は、スーツケース24キロで、4キロオーバー1.6万円の追徴金だったそうです。やはり厳しかった。
持ち運べない分は別送した訳ですが、これが大変でした。まず、EMSを考え、郵政公社(当時)に問い合わせたところ、「この料金には関税は含まれていません。関税のことはオーストリアの税関に問い合わせてください。オーストリアは税率90%ですよ」。私、「たとえば、10万円で購入して、5年着たコートでも9万円の関税なんですか?」、郵政公社、「自分は専門外ですが、そういうことです」。そんなバカな。
2年前にもイギリスに長期滞在したM.K.さんに相談したところ、ヤマト便など宅配業者は関税のこともしっかり処理してくれて確かとか。早速、調べましたが、ヤマト運輸はオーストリアは取扱なし。ヤマトと提携しているUPSが、ウィーンのシュベヒャート空港にたくさん看板を出しているのに?。その代り、日通航空がウィーンに支店を持っていました。しかも、日通航空の関東の拠点は高崎市にあって、私の実家から近いではありませんか。
日通航空で見積を取ったところ、これが相当面倒で、時間もかかり、料金も高いです。しかも、高崎市の営業所では個人の物は扱わず、すべて宅配とのこと。ちなみに、10キロの荷物ですと、EMSが1.6万円で1週間以内なのに、日通航空は燃料サーチャージや保険料なども付いて3.7万円くらいしそうで、2週間は必要とか。
ここまで違うと、オーストリアの税関に確認するしかないと、サイトを眺めましたがさっぱり分りません。EUの規定に従うとのことで、EUのサイトで見て・・と、タライ回し。また、在日オーストリア大使館商務部に電話で問い合わせました。こちらはしっかりしていて、親切にも本国の税関に照会してくださいました。中2日おいて、回答いただきました。EMSで、「persoenlich reisegepaeck、 gebrauchte kleidung」(個人の旅客荷物、古着)と明記して、価格は0円と書けば、関税はかかりませんとのこと。
そのとおりにしたら、9月29日(土)17:00過ぎに前橋中央郵便局から発送した荷物が、10月1日(月)14:45にはウィーンの滞在先に配送され(早すぎて、翌日、再配達となりましたが)、あまりの速さにびっくり! しかも、洋服だったので重さも5キロ程度、8,600円でした。
宅配業者は、もっと大がかりな海外引っ越しの時に利用するものなのだとわかりました。私の場合、これからもEMSを利用させていただきたいと思います。
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